LOADING CONTENTS...

ヘルスケア事業部が見つめる未来


個人の健康サポートから、


医療のあるべき姿を叶えるプラットフォームへ。


プラットフォームへ。

女性の健康情報サービス『ルナルナ』をはじめ、生活に寄り添ったサービスを展開してきたエムティーアイのヘルスケア事業部門。『ルナルナ』がサービスとして成熟してきた現在、さらなる進化をするため医療機関や企業、自治体などと協業体制を構築する新しいステージに立った。そして、見えてきた新たな社会課題。その解決に向けて、これまで培ってきた技術や経験を生かし、ヘルスケア領域のまだ見ぬ未来へと挑戦を続けている。

「絶対に必要」という、
信念のバトンをつないだ12年。

ヘルスケア事業の柱にもなっている女性の健康情報サービス『ルナルナ』は、「すべての女性の幸せの実現に貢献をする」という使命のもと2000年に立ち上がった。当時は生理日予測管理をサポートするサービスは一般的ではなかったが、女性の社会進出など時代の変化とともに、ニーズは高まりを見せた。その後、躍動する『ルナルナ』に続き、デジタルヘルスケア領域に進出するため、2012年6月にはヘルスケア事業本部として体制を強化し今日に至る。振り返れば『ルナルナ』立ち上げからヘルスケア事業本部設立まで、実に12年間。何度も『ルナルナ』はクローズしかけた場面があった。しかし、「必ずこの事業は社会に役立つ」と信念を持ち走り続けた人たちがいた。たくさんの想いのバトンを受け継いで乗り越えてきて今がある。

サービス開始当初は、社内でも生理という言葉が言い出しづらい時代。男性がほとんどを占める会議で話をしても必要性の理解が得られず、決裁が通らないことも多かった。その度、担当者は歯がゆさに涙したという。それでもサービスの意義を信じ続けた立ち上げメンバーたちは、ランチの時間や業務時間外を利用して社内の女性の意見収集や戦略会議を繰り返した。その努力が実り、少しずつ『ルナルナ』ファンが増えていった。「応援しているから頑張って」と言われる声に背中を押され、挫けそうになっても何度も前を向いた。予算もほとんどつかない状態からのスタートだったが、ついに大手通信キャリアの公式メニューとなり、その後はプロモーションの拡大もあり、会員数を増やすことに成功。

サービスが軌道に乗りはじめたタイミングで、ついに大規模な広告宣伝予算を確保。「一気にサービスを成長させる」という経営判断のもと、CMを始めメディアへ広告を集中投下。その戦略が功を奏し、認知度は一気に上昇し、会員数も急増した。生理日予測といえば『ルナルナ』という認知を獲得。中には生理日を隠語で『ルナルナ』と呼ぶ人がいるほど、今や多くの女性の間で生活に根付いた欠かせないサービスへと成長を遂げた。

利用者のデータを
ICTでつなぎ、
新たな価値を世の中へ届ける。

ヘルスケア事業本部が立ち上がり、女性のライフステージに合わせた様々な健康サポートができるよう画策された次の一手は『ルナルナ』の横展開。生理日予測から妊活サービスへの進化、そして妊娠後もサポートをする『ルナルナ ベビー』や母子手帳アプリ『母子モ』など新たなサービスが生まれた。そして、男女問わず幅広い年代の生活者の健康をサポートするためにヘルスケアサービスは現在も多様な展開を見せている。

「長年、私たちは生活者一人ひとりに寄り添ったサービスを展開してきました。一方、誰もがスマートフォンを手にし、世界とつながるインフラができた今、私たちがめざすべき『あるべき姿』をもう一度考えた中で、見えてきたのは、医療が抱える社会課題でした。ヘルスケアサービスを通じて個人がオンライン上で記録した情報を活用することで、もっと便利に、もっと安心で健康な人生を送るサポートができるはずです。」
そう語るのは、女性・母子向け事業を統括する宮本。たとえば、これまで記録されたデータを収集し、分析することで、今までバラバラに存在していたものが一つのビッグデータとなり、同じ悩みを持つ人への有益な情報になりうる。さらにそのビッグデータを必要とする企業や自治体、医療機関が活用することで、必要な医療が行われる一助となれるはず。

このようにICT を活用したプラットフォームをつくり、新しい価値を生みだすことが、ヘルスケア事業部門の使命となった。

女性と医師のプラットフォームから、
さらなる事業拡大を描く。

『ルナルナ』が誕生してから約20年間集めてきた膨大なデータ。それらを活用し、機能改善やサービスの付加価値をつけることに注力してきた。データを活用したサービス展開の一つに、個人と医療機関をつなげるサービスとしてスタートした『ルナルナ メディコ』がある。今後、『ルナルナ』がどのような事業展開を描いているのか、『ルナルナ』ブランドのサービス全体の責任者でもある日根 麻綾に話を聞いた。

「『ルナルナ メディコ』は、患者が『ルナルナ』に記録したデータが、産婦人科クリニックのパソコンやタブレットと連携されることによって、医師が患者の日々の記録データを診察に活用できるようになるサービスです。このように医療の質を上げ、効率化を図るためのプラットフォームを構築し、産婦人科にとどまらずエムティーアイが医療現場とつながることでさらに事業の可能性を広げていくというのが今のフェーズです。サービスの展開は加速しています。例えば、予約システムとの連動では『ルナルナ メディコ』を導入しているクリニックを、患者である『ルナルナ』利用者が選んで予約までできるようにします。婦人科受診に慣れていない女性の中には、数ある医療機関からどこを選べばよいかわからないと思う方も多いはずです。そこで『ルナルナ』で詳しい診療情報がわかりやすく紹介されていると安心感が生まれます。さらに医療機関にとっても、産婦人科を探している女性とマッチできることはメリットになるため、ビジネスとして価値があると判断し2017年にサービスを立ち上げました。」

これはまだ事業戦略の一つにすぎない。医療分野でエムティーアイのプラットフォームを誰もが有効活用している未来を、彼らは確かに見据えている。

母子健康手帳のあり方が、
変わるところまでやってきた。

「『ルナルナ』と並び、いまエムティーアイが力を入れているサービスが、母子手帳アプリ『母子モ』です。」と語る宮本。
これは、『ルナルナ』の利用者の声から生まれ、2014年の自治体の実証事業として始まったサービスだ。
「当初は、『果たしてニーズがあるのか』という議論もありましたが、紙がデジタルに変わり続けるこの時代に、母子健康手帳も電子化できたら嬉しいという声は、想像以上に多かったです。今では自治体公認で使える母子手帳アプリとして導入を推奨するために、日々専任営業担当が全国を飛び回っている状態です。」

エムティーアイの『母子モ』を導入している自治体は右肩上がりに上昇中。(最新件数はこちら

『母子モ』の機能の中でも特に予防接種管理機能が評価され、利用自治体が増え続けている。しかし、行政を相手に営業をしたことがないエムティーアイにとっては、資料のつくり方ひとつからまったく未知の世界。当初は困難を極めた。さらに、全国を回りリアルな声を聞くうちに、今まで見えていなかった課題がどんどん浮き彫りになった。

「たとえば、災害で母子健康手帳が流れてしまい、これまでの記録がわからなくなったり、紙での予防接種の通知を見落として不接種につながってしまったりするなど、電子化をすることで解決できることもたくさんあります。しかし、住民から集めた税金を未知のサービスにいきなり投資できる自治体も少ないです。だからこそ、地道に足を運び、提案し続けることが重要になってきます。決して儲けが先立つ楽なサービスではありません。それでも、今日まで続けることができているのは『あるべき姿を実現する』という信念があるからです。」

少しずつ成果があらわれはじめ、2016年からの2年間では一気に自治体の導入数が増加した。あともうひと押しで、母子手帳アプリが当たり前の時代へと変わる手応えがある。その先にある未来を明確にイメージしながら、今日も全国の自治体へと足を運んでいく。

目の当たりにした社会課題に対して、
私たちだからできることがある。

サービスを利用する人や医療機関が増えるにつれて、これまで気づかなかった新たな社会課題を目の当たりにすることになった。『ルナルナ メディコ』を普及させるため産婦人科医を訪問した時に、産婦人科の働き方や、医者の数の偏りなど、現在の医療業界の制度や仕組みにも限界が来ていると肌で感じるようになった。それは、今までも言われてきたような、既知の事実でもある。

しかし、我々は「あるべき姿」を実現するという信念と、自分たちがこれまで積み上げてきた技術やノウハウといったソリューションを持っている。だからこそ、自分たちがやらなければならないという使命感があるのだ。

「何度も折れそうになりながらも、世の中に無くてはならないサービスを形にしてきました。ここから先も険しい道であることは十分承知しています。」と日根。一方で、自分たちならやれるという自信はあります。1歩先ではなく、5歩も10歩も先を読む。そして、行動は泥臭くても、必ず明るい未来につながると信じて進み続けることが私たちのできることです。」
そう語り合う宮本と日根を始めとした社員たちの想いと行動の積み重ねが、まだ見ぬ明日を描いていくのだと信じ、彼らは今日も未来と向き合いつづけている。

※担当業務や所属部門はインタビュー当時のものです。