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価値あるFinTechサービスは、リアルから生まれる。


現場の声とICTの力をつなぎ、

生まれたプロジェクト。

2015年、10年先を考えた時に新しい収益源となる柱事業が必要だと、社員主導で始まったフィンテックプロジェクト。お客さまの声に耳を傾け、いま世の中で何が起こっているのかを肌で感じ、その課題解決に向けて生まれたのが口座直結型QRコード決済サービス『&Pay』だった。テクノロジーによって決済をもっとシンプルにすることで生活はもっと便利で豊かになる。そう信じ、さまざまな挑戦を続けてきた。その努力が実を結び、いま事業は新たな展開を見せている。

社会の10年先を読み、
水面下で始まった
プロジェクト。

2015年、『モバイルコンバート』というPC用のWebサイトをスマートフォンに最適表示させるサービスを担当していた事業部で、「10年先を考え、新たな収益源となるものをつくろう」とプロジェクトが立ち上がった。
「今後の社会がどのようになっていくかを予測しながら、最初は農業や宇宙など、とにかくビジネスの種になりそうなものについて意見を出し合いました。そこで最終的にたどり着いたのは金融サービスです。『モバイルコンバート』の顧客は7割が金融機関で、業界との親和性が高いことが決め手となりました。」

そう話すのは、プロジェクト立ち上げメンバーの石山。まずは業務と並行で金融機関の経営層の声を聞き、世の中の流れをキャッチアップすることから始めた。ちょうどその頃電子マネーや仮想通貨など、金融業界に新しい風が吹き始めるタイミングだった。しかし、もっと身近な生活に目を向けた時に、ある素朴なアイディアが生まれた。 「たとえば飲み会の会費です。現金で集めるのに、幹事が社内を回りますよね。でもその人がいなくてまた時間をおいて回収に行く姿もよく目にします。テクノロジーが進化したこの時代に、なんと非効率なことでしょうか。相手の口座を聞くことなく、スマートフォンで簡単に直接送金できないのか?という疑問から生まれました。」

現在では割り勘アプリやQR決済などのサービスも生まれているが、まだ消費者目線での金融×ICTの概念がない頃。これまで個人のユーザーに寄り添ってサービスを展開してきたエムティーアイならではの視点だった。
そして、2016年12月。フィンテックが国内でも勢いづいてきたタイミングで「チャンスは今、フィンテック事業に集中して一気に進めよう」と、各部署の主力社員が結集し本格的に事業部がスタートした。

主役は生活者。
決済はシンプルでいい。

サービスの立ち上げに向けて、金融機関のAPIを使った決済サービスの偵察を行うためにアメリカへ行きCES(Consumer Technology Association主催)に参加。最先端技術を肌で感じ、帰国後はすぐに金融機関に対しての営業活動がはじまった。口座情報ではなく電話番号による振込みや、電子請求書を送ることができる機能を考え感触を確かめにいったが、セキュリティ面の不安イメージが先行し、返事はNGばかり。時を同じくして、金融庁から金融機関に向けてオープンAPIの努力義務化が言い渡される。直接口座にアクセスする外部システムのセキュリティへのリスク対策はもちろん、APIを活用したイノベーティブなサービスの登場も期待されていた。それを期に、改めてサービスのあり方を整理し直した。個人間の送金もいいが、よりお金が動くのは、お店と消費者の間で日々行われる金銭のやり取り。ならば決済のサービスをやってみようと方向転換が決まった。

急な方針転換であっても、目的が定まっていれば早いのがエムティーアイ。2017年1月、まず先進的な決済技術が浸透している中国に偵察へ。海の向こうではスマートフォン決済がすでに日常になっていた。すぐにこんな時代が日本にもやってくる。そう確信を得たメンバーは帰国後すぐに、再度営業活動の準備を始めた。

「営業準備の中で新たに見えてきたメリットもありました。それはキャッシュレス化による現金取扱コストの削減です。たとえば、小売店は営業終了後に、毎日売上を手で数える、レジ業務で紙幣をやり取りする、その時間はどれほどなのか。仮に紙幣がなくなり完全にキャッシュレス化すると、業務が効率化されて営業利益は20%も上がるという予測が見えてきたのです。当然このような課題は当事者たちも理解していましたが、導入コストや決済手数料もかかることから二の足を踏む状態でした。それならば、間に手数料をとるサービスを入れることなく、銀行と利用者だけで完結する独自の決済サービスをつくればいいと考え、動き出しました。」

当時営業として現地に足を運び、声を拾い上げていた石山は、そう語ってくれた。こうして口座直結型QRコード決済サービス『&Pay』が誕生した。

大事なのは、
身近な場所から生活を豊かにしていくこと。

「今でこそ、スマートフォン決済サービスはどんどん増えています。けれど私たちは、エムティーアイだからできることをするだけです。その想いを、『決済をシンプルに、決済シーンをもっと豊かに。』というブランドメッセージに込めました。お店でお金を出し戻ししていた時間をなくすことができれば、もっと買い物をする時間が増え、コミュニケーションの時間も増えます。支払い以外の時間を増やして日々の生活を豊かにしたい。これが『&Pay』のコンセプトです。」

エムティーアイが『&Pay』を育てていく上で大事にしていることが2つある。1つは、持続性だ。過度な導入キャンペーンなどはしない。一時のメリット目的で利用し、すぐに離脱されるサービスにはしたくないからだ。キャッシュレスの本質は、消費者と店舗が現金と比べて便利になり今よりも豊かになること。一時的な割引やポイント還元率を競うような、ICTに強い消費者だけが潤うようなことでは本当のキャッシュレスによる豊かな社会は訪れない。消費者も店舗も納得して継続的に使ってもらうために、決済を主役とはせず、利用シーンやキャッシュレスで得られる体験を重視している。そこには20年以上の間、常に顧客視点でモバイルサービスを提供してきた自信があり、他社にも追随できない差別化の要所。ヤクルトレディとの1年以上の実証実験でも証明できた。だから、持続可能な最低限の手数料を設定する。普及に時間がかかるかもしれない。けれど、まっとうにやれば数年後にいちばん便利で余分なコストがかからない決済サービスになっている自信はある。

もう1つは、まず地方を対象にすること。生活者が毎日足を運ぶような商店などからキャッシュレス化を進めて時間を生む仕組みをつくる。特に地方は都心よりも人手不足が課題になっているからこそ、普及に意義がある。そして、都心ではなく地方でビジネスモデルが成立すれば、日本全国どこでも使えることの証明になり、導入したい地域が増えるはず。そうなれば、日本中をより良くすることに貢献できるからだ。

想いに共感してくれる
パートナーと共に、
金融業界をあるべき姿に。

『&Pay』は、口座直結型QRコード決済サービス。決済金額が直接金融機関の口座から引き落とされるため、最も大切なのは決済元の金融機関の存在だ。そこで、コンセプトに共感しサービスと共に形にできる銀行を探すため、2017年2月から本格的な提案活動を加速させた。たった3人で営業活動をスタートし、日本各地約80の金融機関を訪問し、その傍らで展示会に出展するなど、様々な方法で金融機関にアプローチを試みた。チームでの報告や打ち合わせ、提案書の修正すらも地方で合流したタイミングで行う日々。そうして全国各地を行脚しながら伝え回ったビジョンに賛同し、最初に実現に向けて立ち上がってくれたのが、常陽銀行だった。2017年8月に同行と実証実験を開始。そして約2ヶ月後の10月には割り勘・集金機能を追加し、実証実験を続けた。「地域の消費者の生活を豊かにしたい」という熱意を持った担当者がいてくれたことで、急速にプロジェクトが進んだ。そして、動き出して1年後の2018年5月29日、ついに『&Pay』のリリースを迎えることができた。

「単にキャッシュレス化を進めるだけではなく、決済データを活かして、地域経済を活性化させていく。例えば、『誰が』『どこで』『いくら』この街のお店で使っているという情報が『&Pay』のデータからわかるようになれば、銀行はお金を預けて借りるという役割だけではなく、地域のお金の流れを把握し持続性のある経済活性を一緒につくっていくことができます。」
口座直結でデータを取れるサービスだからこそ、銀行にとっても計り知れないメリットがあるのだ。地域経済と金融機関、双方のあるべき姿を実現する一助になるサービスとして、『&Pay』に対する期待は、高まり続けている。

私たちらしく、地道に
足を運んで信頼関係を築いていく。

はじまったばかりの『&Pay』。その名前には「何かをつなぐ」サービスにしたいという思いを込めた。地域と銀行をつないでいくために、現地へ行き、現地の方々と一緒につくっていくことを大切に、営業活動を行ってきた。その中で、金融機関からアプリ開発やモバイルを活用するテクノロジーについて相談されることが増えてきた。そこで2018年12月、ものをつくって支援するだけではなく、ICT技術を通じて総合的にビジネスやサービスを支援することを目的とした、デジタルトランスフォーメーションサービスを開始。これは『&Pay』で築いた信頼関係と、誠意と熱意ある行動が、実を結んだ結果でもある。

「20年以上モバイルコンテンツに携わってきたからこそわかるのは、ICTが万能ではないことです。サービスに関わる人のICTリテラシーや日常生活を把握した上でサービスをつくっていかなければ、素晴らしい技術も人には届かないということは身をもって実感してきました。何かを始める時、アンケート結果だけを持っていくと『本当に聴いてきたと言えるのか?』と突き返される、そんな文化がエムティーアイにはあります。」

長年、エムティーアイでサービスをつくり見守ってきた塩本。机上のマーケティングだけでは、生活者に寄り添った持続するサービスになりえないことを知っている。「現場を見る」「現場に行く」ことを大事に続けてきたからこそ、今がある。
「『&Pay』のプロジェクトにおいても、エムティーアイの価値とあるべき姿を改めて確認することができました。だからこそ、あとは行動あるのみですね。」
そう語る彼らは、また今日も新たな機会を生み出すために、泥臭く、現地へ足を運び続けていくのだ。

※担当業務や所属部門はインタビュー当時のものです。